横浜にある障害者の自立生活センター「JIRITAMA」の、従業員への障害差別と不当解雇に抗議してください!

障害者でもある介助者(ヘルパー)を、事業所に障害を開示したことを「信頼を損ねた」という理由で解雇し、また差別・ハラスメント発言を繰り返しています。

 

概要

発達障害者でもある原告 Y(仮名)さんは、2018年から神奈川県横浜市中区にある自立生活センター「自立の魂 ~略して じりたま!~/有限会社 JIRITAMA」(通称 JIRITAMA)にて、障害者の一人暮らし(自立生活とも呼ばれます)をささえる重度訪問介護の介助者として働いていました。Yさんは自分が障害者であることを会社にはことさらに開示せずに就労する、いわゆる「クローズ就労」を選択していました。Yさんは2021年の8月に代表と面談し、そのなかで「(自分は3年間勤務してきたこともあり)短時間正社員になることを希望するが、制度がないようだ。特に障害者でもある労働者に向けては、障害者の自立生活運動を担う自立生活センターの一つとしても、あるいは昨今の一般企業が整備するような合理的配慮の一形態としても、そのような制度を作ってほしい。」という文脈で、自分自身が障害者であるということを開示しました。しかしながら、代表は「Yさんが障害者であったなどとは聞いていない」といった主旨からYさんにたいして非常に不機嫌に応答し、Yさんが障害を開示してからわずか4日後にはYさんを解雇したいという意向を伝えました。

Yさんは全国一般労働組合東京南部に参加し、不当な解雇の撤回、Yさんに対する謝罪や事業所としての再発防止と、本人が差別を感じることなく安心して復職するために必要な環境整備を求めて交渉を行っています。粘り強く団体交渉を重ねてきた結果、JIRITAMAはあまりにも不当な解雇そのものは「撤回」しましたが、一方的に解雇の「撤回」を宣言するのみで、一連の差別・ハラスメントに対してなんら反省を示さず、Yさんを職場復帰させるための行動をとっていません。そのためYさんは障害者として安全に復職することが1年以上できていないのです。

 

JIRITAMAの不適切な運営・ハラスメント・差別

団体交渉においてはJIRITAMAの数々の問題点が判明しました。

・Yさんら契約社員就業規則の内容はおろか、その存在すら周知していないこと。

・解雇の事由が団体交渉においても変転を繰り返し、しかしながらYさんの介助者としての不備に対しては根拠ある例示が一つもないこと。中には(業務日誌には恒常的に「調理」と記載されているにもかかわらず)「Yさんは自炊をしない(と本人が言っていたはずだ)から料理もできない」と述べるなど、勤務評価が事実を根拠としていないこと。

・Yさんから障害を開示された後日、Yさんに確認や同意を何ら取らずに事業所の社員5人にたいしてYさんの障害について共有してしまったこと(アウティング行為)。

・障害者運動体のけん引役でもある事業所代表が、当初「すべて代理人の小嶋弁護士にお任せしています」などと、直接された質問に対しても自分たち自身で状況を考え答えようとする姿勢を完全に怠ってきたこと。

・「Yさんら契約社員はアルバイトなので(労働契約書があっても)会社都合で不利益変更してもよいと思う」という主旨の発言を繰り返したこと。

・組合からの処遇改善加算についての質問に資料を出すなどして誠実に回答をしないこと

・その他退職勧奨時・団体交渉時等における障害差別的・ハラスメント的発言。

「(Yさんが入社時に障害を開示しないことは)虚偽申告だから就業規則違反に相当する」

「障害について秘匿されていたために合理的配慮ができなかった。利用者の方に対しても危険にさらしてしまうものであったというのが解雇の理由」

「いつ事故があるかわからないからYさんの利用者さんに対するサービス提供が不安。」

など。これらの言動について批判されてもJIRITAMAは問題を認めず、不適切な解雇についても含め、Yさんへの謝罪を拒絶している現状です。

 

障害労働者への差別解消のため、被害者救済に向けた議論を望みます

JIRITAMAが行っている障害差別とハラスメント、労働者の権利に対する深刻な侵害は社会通念と照らし合わせても悪質なものですが、これは自立生活運動全体が遺棄してきた諸問題と決して無関係なわけではないと思っています。

たとえば、労働者の権利を保護したり人が長期的に定着しやすい職場を整備するよりも過重な負担を用いて介助現場を成立させることを優先しがちであること。

"障害に対して無配慮な「世間」と、差別に身をもって抵抗する障害当事者、そしてその勇ましい障害者たちを支える「私たち」" といったストーリーに隠れて、差別や問題提起に対して自己点検や対話、真なる主張ができない場となりがちでもある危うさ、などです。

JIRITAMAの障害差別への無理解はとんでもないのですが、これまで運動として「介助や経営に無理があってもやむを得ない」「適合できずに去ってしまう介助者・利用者たちがいても仕方がない」と内部で対話や批判を怠ってきた結果として、ここまでする団体が「自立生活センター」加盟団体の一つとして事業継続してしまっている現状があるのではないのでしょうか。

自立生活運動の意義は今なお完全に失われるものではありません。ただ、これまでにどのような人やことを切り捨ててきたのか、優性思想に抗うという行為はどういうことでなければまずいのか。地域こそが障害者殺しによって成立しているのならば、障害者も「地域の一員」になったら何の疑問もなく周囲同様に障害者を虐げてしまうのではないか。障害の問題と自立生活の行く末、そして地域で暮らしてゆくことに関心のある方たちにこそ、裁判を通じて今回の件を知ってもらい、対話も交えながら考え、生きたい社会を作る機会としていただければと思います。そしてまた、どうすれば被害者のクローズ就労者として/障害者として遺失した権利や生活そして尊厳を回復できるのか、その方法も一緒に考えていただければと願っています。

 

裁判日程

YさんはJIRITAMAの給与の未払いと障害差別行為の賠償について訴訟を起こすこととしました。

その第一回口頭弁論は、2023年2月24日(金)13:30より横浜地裁 605号法廷にて行われます。当日法廷ではYさんから原告として意見陳述書の読み上げもおこなわれる予定です。また終了後は原告・支援者の方と共にミニ集会も開きますので、ご関心のある方の参加をお待ちしております。

*ミニ集会には以下のフォームにて事前の登録をしていただけますと原告が人数予測できるのでありがたいです。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScchP_3WFfBp1_RbsRREh85sfpRD_vk-3vC5bqOA4pcYBEjGg/viewform
当日キャンセルの場合は連絡不要です。

 

ご支援のお願い

原告は(団体交渉を通じて体裁的には「解雇を撤回する」とされていますが)現在も職場から完全に排除されてしまっており、給与も未払いの状態にあります。訴訟費用、また事件を記録化するための資金としてカンパを募集しております。集会時のカンパ箱などでお心づけをいただけますと幸甚です。

裁判の次回開催日時、団体交渉上の概略については情報をこのブログにて更新してまいります。

 

原告支援のために情報を受け取りたい方は

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScchP_3WFfBp1_RbsRREh85sfpRD_vk-3vC5bqOA4pcYBEjGg/viewform

にて連絡先を同意の上、ご登録ください。

ご不明点、ご要望、メールアドレス以外の連絡先をお望みの方はdisabled.unfair.dismissal2021y@gmail.comまで。